MCTオイル VS ココナッツオイル 徹底比較!
2021/06/26
こんばんは。分子栄養カウンセラーのmanaです。
今日は、中鎖脂肪酸の代表的な油、MCTオイルとココナッツオイルについて。
中鎖脂肪酸については、前編をご覧くださいね。
その他の油のお話は、油のタグからどうぞ。
MCTオイルとは?
筋トレをされている方や糖質制限をされている方には知名度の高いMCTオイルですが、初めて聞くという方もいらっしゃるかもしれません。そもそもMCTオイルとは何なのでしょうか?
MCTオイルは、ココナッツオイルやパーム油を原料に作られる中鎖脂肪酸の油で、植物油の一種。
ココナッツオイルの中から中鎖脂肪酸のみを抽出したもので、「MCT」はMedium Chain Triglyceride(中鎖脂肪酸)の頭文字の略、そのままのネーミングです。
MCTオイルとココナッツオイルの構造の違い
MCTオイルはココナッツオイルを原料に作られることから、一緒くたにされてしまうことも多いこの二つ。大きな違いをまとめてみました。
ココナッツオイル | MCTオイル | |
原料 | ココナッツ(ココヤシの実) | ココナッツ(ココヤシの実)またはパーム(アブラヤシの実) |
脂肪酸組成 | 長鎖脂肪酸 中鎖脂肪酸 |
中鎖脂肪酸 |
主な中鎖脂肪酸の成分と割合 | ラウリン酸(C12)・・・50% カプリル酸(C8)・・・8% カプリン酸(C10)・・・6% |
カプリル酸(C8)・・・60% カプリン酸(C10)・・・40% |
※パーセンテージに関しては、製品によるところが大きいので、公表しているメーカーの平均値を取っています。大まかなイメージと思ってくださいね。
中鎖脂肪酸=ココナッツオイルというイメージがあるかもしれませんが、実は長鎖脂肪酸も多く含まれているのがココナッツオイルなのです。要は、バターとかラードに近い性質を持つということ。
栄養療法のクリニックで、“ココナッツオイルまたはMCTオイル”を利用することを勧められるケースも多いのですが、この二つの違いは作用としても大きく異なるので、きちんと意識して使うのがおすすめです。恐らく、MCTオイルの方が使いやすい方も多いように感じます。
中鎖脂肪酸のそれぞれの特徴
せっかくなので、代表的な中鎖脂肪酸の特徴も細かく見ておきましょう。
カプリル酸(C8) | カプリン酸(C10) | ラウリン酸(C12) | |
経路 | 毛細血管 ⇒ 門脈 ⇒ 肝臓 | 毛細血管 ⇒ 門脈 ⇒ 肝臓 | リンパ管へ ⇒ 静脈 ⇒ 肝臓 |
電子伝達系(ミトコンドリア) | カルニチン不要 | カルニチン必要 | カルニチン必要 |
特徴 | これぞまさに中鎖脂肪酸 | 中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸の間 | 実態は長鎖脂肪酸 |
前編で出てきた中鎖脂肪酸の特徴って、いわばカプリル酸(C8)の特徴だったのですね。ラウリン酸(C12)に至っては、ほとんど中鎖脂肪酸の特徴を持っていないので、個人的には、長鎖脂肪酸に分類した方が良いと思ってしまいます。
☛ ラウリン酸(C12)が50%も含まれているココナッツオイルは長鎖脂肪酸ということ
☛ MCTオイルも、カプリン酸(C10)が多いものでは、中鎖脂肪酸の効果は減ってしまうということ
MCTオイル VS ココナッツオイル
それでは、MCTオイルとココナッツオイルの効果や効能についても比べてみましょう。
決して、ココナッツオイルがMCTオイルよりも劣るということではないので、それぞれの特徴を理解することがポイントです。
ココナッツオイルの特徴
✔ 抗菌作用や殺菌作用が強い
✔ お料理(加熱調理)にも使える
✔ ココナッツの香りがする
✔ 常温で固体
腸カンジダの除菌などには有効だと考えられます。また、お料理で他の植物油脂の代用として利用することもできるのは便利です。
MCTオイルの特徴
✔ ミトコンドリアの再生や増加をしてくれる
✔ ミトコンドリアのエネルギー源となる
✔ 消化吸収が速くエネルギーになりやすい
✔ 消化能力に関わらずエネルギー利用できる
✔ ケトン体になりやすい(糖質制限をサポートしてくれる)
✔ 無味無臭
✔ 常温で液体
✔ 慣れないうちは胃腸に負担がかかりやすい
エネルギーとして利用するならMCTオイルがGOOD。腸の浸透圧が高まり、慣れないと胃もたれや下痢などを起こしやすいため、最初は少量から始めるようにすると良いでしょう。
中鎖脂肪酸の注意点
最後に、中鎖脂肪酸の全般的な注意点も書いておきたいと思います。
- ある程度の摂取量が必要
- 油なので摂りすぎると中性脂肪になる
- 糖質制限もする方がエネルギー効率が高い
- 除菌・抗菌作用が強いので、乳酸菌などを併用する方が望ましい
- トロピカルオイルの性ホルモン作用に留意する必要がある
- 身土不二の観点で見ると日本人には合わない可能性もある
非常に良い特徴をたくさん持っている中鎖脂肪酸ですが、良いものだからといって、摂っている全ての油脂を中鎖脂肪酸に替えるということは止めておきましょう。やはり何事も、バランス良くが良いのでしょうね。
ココナッツオイルもそうですが、MCTオイルは品質のバラつきが非常に大きいので、成分の比率や原料も製品によって大きく異なります。選ぶ際には少し注意が必要なので、高品質で、自分の目的に合ったものを選ぶようにしましょう。
MCTオイルの選び方については、また別途お話することにいたします。
あなたに合った油の摂り方については、個別カウンセリングよりご相談をお受けしております。自分のライフスタイルやお身体の状況に合わせて、個別化を図っていきましょう。
それでは、また。