ブランデー香るガトーショコラ、無花果と巨峰のスパイシー赤ワインコンポートとバニラジェラート添え♪と、辻口先生のスクールを卒業したお話
2019/11/19
こんばんは。manaです。
手を怪我する前に作っていたものや食べたものがいろいろあるので、ちょっとずつ載せていこうと思います。
こちらは、主人のリクエストで作ったガトーショコラです。
◆ブランデー香るガトーショコラ
先日、日本橋でデパ地下散策しているときに、通りがかったケーキ屋さんでガトーショコラを見かけて、お家で焼いてほしいのリクエストをいただいたのです。
主人の好みに合わせて、チョコレートはヴァローナのカカオ66%のフェーブカライブと、56%のフェーブカラクを混ぜて使っています。カカオパウダーもヴァローナのカカオパウダーで、甘さ控えめに仕上げています。
焼き上がりにブランデーを打って、一晩寝かせてからいただきました。
添えたクレームシャンティにも、ブランデーをたっぷり使って作って、大人の味わいにしてみました。
クリームに入れるブランデーの加減は、主人にお任せしています。
ある程度生クリームを泡立てたところで主人を呼んで、好きな量だけブランデーを注いでもらうのです。
これが、泡立てられるギリギリ限界の量まで入れてくるので、私の技術力との闘いになっていて、なかなか面白かったりします(笑)
昨日は、アレンジバージョンでいただきました。
◆ブランデー香るガトーショコラ ~無花果と巨峰のスパイシー赤ワインコンポート バニラジェラートを添えて~
無花果と巨峰の赤ワインのスパイシーコンポートに、バニラビーンズたっぷりの出来立てジェラートを添えてみました。
コンポートは、お砂糖をほとんど使わずに、スパイスを効かせて作る大人のお味。圧力鍋任せなので、とても簡単にできちゃいます。
【銀座 カフェノワゼット】アットホームなビストロで♪ボリューム満点の本格派フレンチディナー
こちらのお店でいただいたデザートからインスパイアされたのですが、結果的に全然違うものが出来たので、アイディアをいただいた感じですね。
このコンポートとジェラートを添えたアレンジが、主人から大好評でした♡
ガトーショコラとクリームだけでも充分美味しいけれど、この2つが加わるとさらに完成度がアップするみたいで、とても喜んでもらえました。
* * *
余談ですが、このガトーショコラから派生して、このレシピにまつわるお話をしてみたいと思います。(手が痛いときに限って、キーボード打ちたがりがち。負傷あるあるでしょうか。)
お時間のある方だけお付き合いいただければ嬉しいです。
こちらのガトーショコラは、私のお菓子作りの師匠である、モンサンクレールの辻口博啓シェフのレシピからアレンジして作っています。
私が辻口シェフの学校に入ったのは、ちょうど前職の外資系金融機関に転職する直前のことでした。
前の会社を辞めて、しばらくのんびりしていたときにスクールの存在を知り、こんなチャンスはないと思って入学を決めました。
独身で一人暮らしだったこともあり、将来に対する漠然とした不安ばかりが大きくて、もはや貯金がライフワークのようになってた時期。(今なら、「まだ若いから大丈夫だよ」と言ってあげたい!)
まとまったお金を使うことが怖かったときでもありました。(今なら、「自分への投資は迷わずした方がいいよ」と言ってあげたい!)
その割には、すぐに次の仕事を決めずに、数ヶ月無職で、貯金で生活していたりして、なかなか矛盾の多いことをやっていました。(今なら、「仕事辞めるのは次が決まってからだよ」と言ってあげたい!そして、「早く仕事した方がいいよ」とも言ってあげたい!)
“入学する(≒貯金を減らす)=悠々無職ライフの期間が短くなる”ということで、ちょっぴり迷いもなくはありませんでしたが、心は既に決まっており。ずっと憧れていた辻口シェフに習える機会があるということで、すぐに申し込みをしたのでした。
幸いにも、その2ヶ月後に新しいお仕事が始まり、学校とお仕事と、当時やっていた副業の講師業とで、両立がかなり大変だったことを覚えています。
先生から習ったことは、技術そのものというよりも、精神面が大きいかもしれません。
お菓子に対する向き合い方や情熱、そしてこだわり。むしろ、技術よりもここの方が大事なのだということを感じさせられました。
授業で、ロールケーキのクリームを作っていたときのこと。
その後にナッペするときのことも考慮して、私が泡立てるのをちょっと早めに止めたクリームを見て、「あともう10秒泡立てよう」と指導してくださり。
先生が狙っているのは、及第点を超えることではなく、ベストな状態の中のさらにベスト、そこ一点のみなのだなぁというのを感じたこともあります。
毎日たくさんのケーキを作られうパティシエですが、“信じられないほどの繊細さ”で一つ一つのケーキを作っていらっしゃることに感動したのは今でも鮮明に覚えていることの一つです。
これは、作るものがお菓子でなく、お料理であっても、手芸であっても、また机上のお仕事であっても同じで、自分の中に大きく生きている一種のフィロソフィーかもしれません。
〈超一流になるかどうか〉の分かれ目って、ここなんだな、と。また、そういうこだわりや情熱を絶えず持ち続けられるものが、その人にとっての天職なのだと感じました。
子供の頃からお菓子作りやパン作りが大好きで、毎日楽しくやっていた私。兄弟も多かったので、作ってもあっという間になくなる日々を過ごしていました。
それが一人暮らしとなるとどうしても、日々お料理やお弁当作りが優先となってしまい、実家にいた頃のように、毎日作るということが難しくなってしまったのが現状でした。
また、ホールケーキは、作っても食べ切れないという悩みもあったり。さらに当時は、生クリームやマロンクリームなどの甘いクリームが苦手で、作っても自分で試食できないというネックがあったりで、自宅でのアントルメの練習は思うようにできないままの卒業でした。
それでも、辻口先生に習えたことや、それがきっかけでビジネス誌にインタビューをしていただけたりと、貴重な体験をたくさんすることができて、とてもいい経験になりました。
結婚するときに、お引っ越しをするので片付けをしていたら、その掲載いただいたビジネス誌が出てきたのですが・・・
そのインタビューでは、「将来はお菓子教室の先生になるのが夢です」的なことをお話ししていたようなのです!(そんなお話したこともすっかり忘れていたので、思いっきり赤面。)
結局、スクールへの入学とほぼ同時期に働き始めた外資系金融で10年ほど働き、シニアに昇進して~という道を選んでいましたが、このガトーショコラを焼くと、そんな20代前半の想い出が蘇って来て、懐かしい気持ちになるのでした♡
[おまけ]
上手く焼けたガトーショコラのポイントは、
- 生地のみっちり具合
- 火の通し加減
- 上面のカーブ
が決め手です。
最近は、中がレアな生チョコ風のものがあったり、パウンドケーキのようなものがあったりと多様性がありますが、それでも、このクラシックショコラの魅力は王道にあるなぁと感じています。
実際にいただいてみるのはもちろんですが、こうしてお菓子の断面写真を見れば、混ぜ加減や焼成の温度やオーブンの癖やら、失敗の原因まで大体わかってしまうのが弊害でしょうか。
普段はそういうセンサーはオフにするようにしていますが、有名店や一流店で失敗作が出てくると、悲しい気持ちになってしまうことも多いのです。
それでも、作ってくれた人への感謝の気持ちや、一緒にいる人と美味しく食べる時間を過ごすこと、自分にはなかったアイディアや発想に感動したりと、食の楽しみの原点も忘れずにいたいと思っています。
それでは、また。