ピロリ菌除菌を成功させるポイントとステップ、具体的なサプリメントの紹介

   

お久しぶりです。分子栄養カウンセラーのmanaです。
今日はピロリ菌の除菌ステップについてのお話をしてみたいと思います。

 

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ピロリ菌って

まずは、ピロリ菌について簡単におさらいしましょう。

ピロリ菌は胃に生息する螺旋状の細菌で、ヘリコバクター・ピロリが正式名称です。
本来胃の内部は胃酸によって強酸性に保たれているため、細菌類の生息は難しいはず。ですが、ピロリ菌はウレアーゼと呼ばれる酵素を持っており、それによって局所的に胃酸を中和し、自分が住める環境にしています。

私たちからすると、ピロリ菌によって胃酸が中和され、胃の中のPHが上がってしまっている状態になります。胃酸が中和されると消化能力が低下することは想像に容易いですが、これにより様々な疾患と関連があることがわかっています。

よく言われるところでは、胃炎、胃潰瘍や十二指腸潰瘍、そして胃癌。他にも、わかりやすい症状では、逆流性食道炎など、SIBOと関連した症状や様々なお腹の不調も起こりうると言われています。

しかし、それだけではありません。一見胃とは関係のなさそうな症状もまたピロリ菌によるものかもしれないのです。低タンパクや鉄欠乏、それによる慢性疲労なども関連していることも。また、睡眠の質の低下や気分障害などもピロリ菌によるものである可能性があります。

 

ピロリ菌の検出方法と除菌判断

一般的にピロリ菌は、血液検査や胃カメラや内視鏡、呼気検査などで見つけることができます。

ところが、副腎疲労がひどい場合、ピロリ菌がいるにも関わらず血液検査では陰性になるケースも多いです。そういう場合、副腎疲労の治療を行い、ほどほどに元気になってくるとピロリ菌が陽性になることがよくあります。

そのために、私たち分子栄養学のプロは、血液検査でのピロリ菌の陰性結果は、あくまで「検査したそのときは検出できなかった」だけと認識することにしています。“本当はピロリがいるけれど、数値に出てこない可能性”も大いにあるからです。

血液検査以外に、最新の分子栄養学では、GI-MAPという便検査からも見つけることができます。
GI-MAPは遺伝子を培養するので、ごく微量のピロリ菌も見逃すことがありません。それだけでなく、ピロリと似た遺伝子を持つ菌までも検出してくれるのです。血液検査では陰性であっても胃腸の症状がある場合、GI-MAPによって微量の菌を発見し、原因が特定できることが多いのです。

 

ちなみに私は、血液検査では陰性でしたが、GI-MAPで少量検出された一人です。
ひどい副腎疲労だったときに、「もっと元気度が上がったら、血液検査で検出されることもあるかもしれないね」と当時ドクターから言われていましたが、かなり元気になっても血液検査では検出されませんでした。

ところが、GI-MAPを行ったところ、ピロリ菌が微量に検出されたというわけ。

こういう場合、除菌をするかどうかは症状で判断します。
私の場合も、GI-MAPの数値だけで言えば、明らかに無視して良い範囲の微量なものでした。それでも、この微量な菌がいることにより、胃腸の症状があり、消化酵素の不足もあり、血液検査でも栄養不足が確認できたため、除菌に踏み切りました。

本来の私はお薬は苦手なので、始めるのにはなかなか勇気が要りました。また、除菌中の不調や除菌後のパフォーマンス低下がありましたが、結果的にやって良かったと思っています。というのも、様々な胃腸の症状が大きく緩和されたから。

しかし、私のように除菌をして「良かった!」と思えるかどうかは、除菌の仕方が大きな鍵を握っていることを忘れてはいけません。ただボノサップを飲むだけの除菌をすると、かえって慢性疲労がひどくなることの方が多いです。カウンセリングでも、ピロリ除菌後の体力低下を訴える方が一定数いらっしゃいます。

次からのチャプターでは、除菌の方法についてご説明します。
除菌を成功させるポイントにも触れていきますので、最後までチェックしてみてください。

 

一般的な除菌方法(抗生物質を使う方法)

一般の保険診療のクリニックでのピロリ菌除菌方法は、複数の抗生物質が組み合わさった内服薬(ボノサップなど)を2週間飲むだけです。禁止事項はアルコールを飲まないことのみで、食事制限などは一切ありません。

そのため、一度で除菌しきれないことや、一番避けたい再発率も高く、途中で体調が悪くなることもあります。特に予後が悪く、除菌後に不調に陥る方が多いように感じます。

具体的には、こんな症状があります。

  • 慢性疲労
  • だるさ
  • 疲れやすさ
  • 頭痛
  • 首肩腰の痛み
  • 関節痛の再発
  • 気持ちの落ち込みや沈み、etc.

でも、これらの症状って、「歳のせい」や「ストレスのせい」や「疲れのせい」になりがちなので、ピロリ菌除菌との関連を見逃してしまうことも多いのではないでしょうか。

また、回復まで時間がかかるケースも多く、その間に、胃の症状に悩まされることも多いです。除菌して、はい、良くなりました!とはならないのがピロリ除菌でもあり、そこをどううまく回復させるかがポイントと言えましょう。

状態の良い方でも、ピロリ菌除菌後の回復には時間がかかります。ここをいかに長引かせないかが除菌成功の分かれ目なのです。

 

 

除菌を成功させる分子栄養学的な重要ポイント

さて、ここが今回の最大のポイントで、皆様の関心事項でしょうか。
除菌の基本ステップ(抗生剤の内服薬を2週間飲むところ)は、一般のクリニックでも分子栄養学のクリニックでも同じです。

大きな違いは、分子栄養学では粘膜免疫ケアや腸内環境ケアを行うという点。

(余談ですが、他にも自費診療か保険診療かという違いがあり、お薬代だけでも約3倍近い金銭的な差も!分子栄養学のクリニックは初診料や診察料も高額なので、経済的な負担が大きく、ピロリ菌除菌だけのために利用するのは躊躇してしまうかもしれません。)

 

分子栄養学での腸免疫ケアは、サプリメントや食事管理を用いて行います。

ここで利用するサプリメントは、iHerbでも手に入るサプリメントを利用します。そのため、一般のクリニックで保険診療でピロリ菌除菌をしながら、セルフケアで分子栄養学的なケアをすることも可能になっています。簡単なステップなので、ぜひ取り入れてみてください。

 

具体的なステップとサプリメントはこんな感じ。
サプリメントの詳細は次のチャプターでご紹介します。

事前準備(1週間〜できれば2週間)

  • グルテンフリー・カゼインフリー・アルコールフリー・カフェインフリー
  • ビタミンA、グルタミン、亜鉛、プロバイオティクス、酪酸菌の服用
  • 消化酵素の利用

除菌開始(2週間)

  • グルテンフリー・カゼインフリー・アルコールフリー・カフェインフリー
  • ビタミンA、グルタミン、亜鉛、プロバイオティクス、酪酸菌の服用
  • 消化酵素の利用

事後ケア(3ヶ月)

  • ビタミンA、グルタミン、亜鉛、プロバイオティクス、酪酸菌の服用
  • 消化酵素の利用
  • グルテンフリー・カゼインフリー・カフェインフリーを可能な範囲で続けると良い

 

事前準備が最低1週間であるのに対し、事後ケアは3ヶ月となかなか長めになっています。
それもそのはず、除菌では強力な抗生剤を使うので、ピロリ菌も死滅しますが、腸の中の良い菌も全滅状態になってしまっているから。腸粘膜の修復にはそのぐらい丁寧なケアが必要なのです。

抗生剤を飲み終わって気が緩み、この事後ケアのステップを飛ばしてしまうと、除菌したはずなのにかえってQOLが下がり、病名の付かない体調不良が続くことになります。何よりも、せっかく除菌したのに再発するのは避けたいものですよね。

 

サプリメント自体は除菌前・中・後で同じなので、約4ヶ月分のサプリメントを用意して飲むだけと非常に簡単です。お食事も、大まかなルールは4F(グルテンフリーとカゼインフリー、アルコールフリーとカフェインフリー)なので、ストレスにならない範囲で守ると良いかと。

サプリメントの内容は、主に粘膜免疫(腸粘膜)の回復に良いサプリメントを中心に入れるのが鉄則。特にプロバイオティクスは大事で、サッカロマイセスを含むものと、酪酸菌も必ず入れたいところです。他にも、自分に合ったものがあればそちらを使うと良いので、次のチャプターでiHerbで購入できるサプリメントの具体的な商品もご紹介します。

 

そして、サプリメントや食事以外で、最も大事なポイントは2つあります

✔︎ どのタイミングでピロリ除菌を行うか
✔︎ ストレスコントロール

ピロリ除菌のタイミングは、やはりある程度副腎疲労が改善されたところで行わないと、体が除菌やダイオフに耐えられません。そして、そのためには腸内環境の改善も大事になってきますので、事前の生活改善や食事改善は必須です。

そして、ストレスコントロールもまた重要なポイントになっています。副腎疲労の改善と繋がるところではありますが、自律神経が整っていることによって胃酸の分泌も良くなりますし、再発しにくくなるのです。

ストレスによって副腎機能が低下すると、免疫力も下がり、腸内環境も悪化するので、これは除菌のタイミングではないと判断します。必ず、ストレスがかかりすぎておらず、腸内環境が良く、免疫力が落ちていないことが確認できてから行ってください。(副腎疲労は唾液コルチゾール検査で、腸内環境や免疫力はGI-MAPで調べることができます。)

また、もし除菌できない状態のときには、副腎ケアや腸内環境の改善が先です。ここでは割愛しますが、副腎疲労で最初にやるべきは低血糖ケアです。こちらの記事も参考にしてみてください。

疲れやすいその症状、副腎疲労かも?

副腎疲労の治療には◯◯◯ケアが効く!

 

具体的なサプリメントの製品紹介

上でリストしたサプリメントの具体的な商品をご紹介したいと思います。

※ここでは、一般の方が購入できる、iHerbやAmazonや楽天などの通販を利用したものを中心にご紹介しています。栄養療法のプロが使うサイトにはより良い製品もありますので、気になる方は分子栄養学を取り入れているドクターやカウンセラーにお問い合わせしてみてください。

 

ビタミンA

Seeking Health, ビタミンAリキッド、1滴あたり1,500mcg RAE、30ml(1液量オンス)

 

Kirkman Labs, ミセル化ビタミンA、30ml(1液量オンス)

ビタミンAのポイントは、ミセル化されていること。となると、上の2つのように液体になってしまいます。分子が細かいと吸収率が上がるので、より効果が高まるのが良いところ。脂質と一緒に摂るのがおすすめなので、スープなどに入れると良いです。

ただし、外出のときには持ち運びづらいので、私はカプセルタイプも利用しました。

 

Solaray, ドライフォームビタミンA、7,500mcg、ベジカプセル60粒

こちらはミセル化はされていませんが、小さなカプセルタイプで飲みやすく、持ち運びにも便利です。なるべく脂質を含んだお食事の後に飲むと効果的。

 

グルタミン

Thorne, L-グルタミン粉末、513g(18.1オンス)

万能選手のグルタミンは、腸内環境を整えたい人が使ってみるべきサプリメントです。他にも、副腎疲労がある方や低血糖がある方、体力がない方にはぜひ試してもらいたいところ。あと、運動する方や筋トレされる方にももちろん欠かせません。一部、グルタミンが合わない方もいるので、そういう方は避けるのがベター。

 

Metagenics, Glutagenics, 9.16 oz (259.8 g)

ドクターズサプリメントのメタジェニックス社の製品も(アメリカ版ですが)iHerbで買えるようになりました。こちらのグルタミンには甘草も入っているので、より副腎疲労の方向きの処方になっています。お味に癖があるので、大きいジャータイプなら上のThorne, L-グルタミン粉末、513g(18.1オンス)の方が好きですが、良い製品です。

 

ちなみに、日本のメタジェニックス社にあるのは、個包装タイプ。

持ち歩きに便利なので、ジムのバッグに入れておいたり、外出先での低血糖予防にも役立ちます。医療関係者のみの販売なので、購入にはIDとPWが必要です。

 

亜鉛

 

Thorne, ダブルストレングス ジンクピコリネート, 180 ベジキャップス

 

Eidon Ionic Minerals, イオニックミネラル、亜鉛、濃縮液、60ml(2オンス)

私が愛用しているのはカプセルタイプと液体タイプ。亜鉛は吸収率が高くないので、こまめに補給が良い感じ。液体タイプは無色透明、無味無臭なので、スープはもちろん、お水に入れても違和感なく飲めるので便利です。私はお味噌汁にも入れたりします。

 

プロバイオティクス

California Gold Nutrition, LactoBif プロバイオティクス、300億CFU、ベジカプセル60粒

本当に効果のあるサプリメントにも選ばれた、こちらのLactoBIf。私も効果があると感じて、もう長らくリピートしています。CFU数やカプセル数にバリエーションがあるので迷いますが、一番バランスが良い300億と60粒の組み合わせがお気に入り。ただし、サッカロマイセスは含まないので、他の製品と組み合わせる必要があります。

 

Seeking Health, Saccharomyces Boulardii, 5 Billion CFU, 60 Vegetarian Capsules

サッカロマイセス単体のサプリメントです。上のLactoBifと組み合わせるならこちら。Seeking Health社は品切れが多いので、ないときにはThorneを利用します。

 

Thorne, Sacro-B(サクロB)プロバイオティクス60粒

 

酪酸菌

酪酸菌と言えば、定番のミヤリサン。安価で品質も良い定番商品です。Amazonでも楽天でも、きっとご近所の薬局にもあると思いますので、ぜひ取り入れてください。

強ミヤリサン錠 330錠

 

 

 

除菌中におすすめの食べ物と過ごし方

上に挙げたサプリメントは必須ですが、それ以外に、除菌の手助けをしてくれる食べ物やポイントもお伝えします。

  • アブラナ科の野菜(ブロッコリー・キャベツ・大根、etc.)
  • 硫黄を含む野菜(ニンニク・玉ねぎ・長ねぎ・らっきょう・にら・茗荷、etc.)
  • 水溶性食物繊維
  • 肝臓ケア
  • 水分摂取
  • 入浴
  • 睡眠

除菌中はデトックスに役立つ食べ物を摂ることも大事になってきます。
そのため、アブラナ科のお野菜や硫黄を含むお野菜を積極的に召し上がるのも大事で、排出を助けてくれる食物繊維はマストです。

また、デトックスによる肝臓の疲れをケアするために、肝臓ケアもおすすめ。シジミはもちろん、イカやタコなども良いとされていますし、肝臓に負担がかかる添加物などを入れないということもポイントです。

そして、水分はしっかり摂り、お風呂に温まることやしっかりと睡眠を取ること、可能な範囲での運動(体調が悪いときは安静に)も大事です。こういった生活習慣で底上げできることが多いので、この期間は特に「丁寧な暮らし」を心がけると良いと思います。もちろん、ストレスケアも忘れずに。

余談ですが、人によっては、口腔内のピロリ菌にも気を付けたほうが良いケースもあるので、そこはドクターやカウンセラーにご相談いただくと良いかと思います。

 

おまけ:抗生物質を使わない除菌方法

最後に、抗生剤に抵抗がある方や自然派の方で行う方法を簡単にご紹介します。

抗生剤を使ってきっちり除菌してしまう方が効率が良いのですが、抗生剤が使えない方や抵抗がある方もいらっしゃるかと思います。マスティックガム以外は食材なので、日々の食事にも取り入れられるものがたくさんあります。個人的には、除菌後のお食事などに取り入れると再発防止に良いので、ぜひチェックしてみてください。

  • マスティックガム
  • 梅干し
  • 緑茶
  • ブロッコリースプラウト
  • マヌカハニー
  • クランベリージュース
  • アブラナ科の野菜
  • わさび
  • 生姜
  • にんにく、etc.

ちなみに緑茶はカフェインを含むので、除菌ステップ中は利用できませんが、学術的には効果があるものなので載せています。迷うときには、カウンセラーにご相談いただくことをおすすめします。

 

まとめ

ピロリ除菌の鍵は、一に腸内環境、二に腸内環境、兎にも角にも腸内環境です。

除菌前・除菌中もですが、除菌後は良い菌も死滅している状態なので、腸内環境が悪化します。お薬を飲み終わると気が抜けてしまいがちですが、除菌後3ヶ月は気を抜かずに丁寧にケアを続けるようにしましょう。

また、副腎疲労が残っている方は、副腎のケアを組み合わせるのも効果的です。
副腎ハーブなどを用いることも一つですし、まずは何より規則正しい生活を送るのがベスト。

この除菌の期間は、良い睡眠・適度な運動・毎日入浴・丁寧な食事に加えて、ぜひストレスケアも併せて行ってみてくださいね。

 

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