栄養療法で発達障害の特性を活かして付き合う秘訣

   

こんにちは。分子栄養カウンセラーのmanaです。
今日は発達障害についてのお話をしてみたいと思います。

 

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発達障害と分子栄養学

最近ご相談で多いのが、お子さんの発達障害に関することです。
近年発達障害のお子さんが増えているという話題はよく耳にしますが、2004年に発達障害支援法が制定され、病名の診断がスピーディになったために、気付かれる方が増えたことも一因かもしれません。

現在発達障害の主な治療法は、薬物療法と生活療法とされていますが、実はそれだけではありません。欧米では1960年代から分子栄養学による治療が行われており、その効果が認められ、発達障害の治療法の一つに含まれているのです。分子栄養学が発達障害に一定の効果を出している現状が、もっと世の中に知られて良いと感じます。

実際私が所属する分子整合栄養医学の学会で、分子栄養学を用いた治療によって発達障害の大きな改善が見られた症例も見てきました。

発達障害は特性なので「完治」という概念は存在しないかもしれませんが、困っている症状を改善し、自分の特性を知り、上手に付き合うことはできます。ご自身が発達障害で悩まれている大人の方はもちろん、お子さんの発達障害で悩む親御さんも、分子栄養学を知ることは、発達障害をコントロールして上手な付き合い方を見つける大きな助けになることは断言できます。

他にもここ数年では、神経栄養因子およびサイトカイン治療という、聞き慣れない治療法も効果があります。メキシコでは一般的な治療なのですが、分子栄養学のドクターが研究に赴いたりしているようで、日本でもいずれ取り入れられるようになるのではないかと思います。

 

 

余談ですが、学会に在籍されているメンバー(多くはドクター)にも発達障害の方は多いです。
自分も悩んでいるからこそ上手なコントロール方法を知っているし、その上で特性を活かし、お仕事で高い成果を上げられているという側面も大いにあります。

また、私の前職の外資系金融にも発達障害の方が多くいましたが、上手に特性をコントロールする術を身に付けた人だけがサバイブしているという印象です。(遺伝的要因も大きいから、代々その術が受け継がれている家庭が多いという側面もあるかも?)

発達障害はある種天才タイプなので、上手にコントロールして体と心を整えて、心地良い環境にしてあげると、普通の人にはできないようなことが達成できる可能性を秘めています。

 

これからお話しする分子栄養学で行うケアは、そういった特性持ちの方が自分の特性を好きになれるための秘訣でもあるので、ぜひ次からのチャプターを読んで、まずは特性を理解し、対策を実践してみてください。

今まで人とは違って辛かったことや、ちょっと生きづらいと感じていた症状が緩和されると、QOLが大きく向上し、自分の本来の能力が発揮しやすくなることをお約束します。

そして、これは私の個人的な考えですが、発達障害のある人もない人も、どちらも良くてどちらも素晴らしいということが大事だと感じています。『みんな違って、みんな良い』という言葉の意味を実感する今日この頃です。

 

発達障害の方の体の状態

さて、本題に入ります。
発達障害の原因については諸説ありますが、根本的には、遺伝的な特性と環境要因がかけ合わさって起こるという考え方が有力。研究者によって異なりますが、分子栄養学では以下の4人の研究者の方の説が治療の方針として使われています。

  • 腸(ウィリアム・ショー博士)
  • 水銀(アンドリュー・カトラー博士)
  • エピジェネティクスと酸化ストレス(ウィリアム・ウォルシュ博士)
  • メチレーションおよびMTHFR(ベン・リンチ博士/エイミー・ヤスコ博士)

遺伝子の発現に後天的な要因が大きく関係していることを、専門用語では「エピジェネティクス」と言います。エピジェネティクスについてはここでは詳しく触れませんが、簡単に言えば、一卵性双生児が全く同じ人間にならないのはエピジェネティクスという理論があるからです。

 

さて、話を発達障害に戻すと、発達障害の症状やお悩みは人によりいろいろですが、発達障害が起こるとき、体の状態がどうなっているかというところにフォーカスしてみると、共通点があります。

こんな感じです↓

  • 腸内環境の悪化
  • 腸・脳の炎症
  • 代謝経路の異常
  • 神経伝達物質のアンバランス
  • 解毒機能の低下
  • 免疫異常
  • カンジダ菌の増殖
  • ミネラル欠乏
  • 血糖コントロール不全
  • ミトコンドリア機能低下
  • 睡眠障害
腸内環境が悪化すれば、下痢や便秘を繰り返し、解毒ができなくなりますし、解毒ができないと重金属によりエネルギー代謝ができなくなります。リーキーガットからBBBの破壊が起きてブレインフォグを招いたり、不安障害なども引き起こしたり。カンジダ菌が増殖することでエネルギー代謝にも関わり、免疫異常も招くため、花粉症やアトピーなど、アレルギー疾患にも繋がり、炎症体質にもなります。これらは血糖コントロールとも関わりがあるため、気分障害や睡眠障害、摂食障害も引き起こし、ミトコンドリア機能低下にも関連し、ミネラル欠乏を引き起こし、かくして、神経伝達物質のアンバランスを招くのです。

・・・と、難しいことはさておき。

発達障害あるあるの、聴覚過敏や視覚過敏、疲れやすさ、執拗なまでの強いこだわり、過集中、睡眠の質の悪さ、ケアレスミスや不注意、落ち着きのなさ、偏食、歯軋り、気分の落ち込みやイライラと攻撃性、コミュニケーションの難しさ、etc.

これらは全て、こういった因果関係に基づいて起こっていることばかりです。多くの症状は、症状が症状を呼ぶような状態になっていることもあります。それゆえに、分子栄養的なアプローチで根本原因を断てば、どの症状も楽になることは自明というわけなのです。

 

発達障害とメチレーション

具体的なアプローチの前に、もう一つ触れておきたいことがあります。
エピジェネティクスよりも難しい内容になりますが、メチレーションについてです。

この「メチレーション」は非常に専門的な内容なので、ここで記事を丸々割いても説明が難しいのですが、乱暴なぐらいにざっくり言うと、メチレーション回路によって作られるメチル基(-CH3)という神経伝達物質が与えたり与えられたりしている状態のこと。

メチレーション回路では、神経伝達物資の合成や解毒、DNA合成のなどに重要な役割を果たしており、発達障害は、メチレーション回路が原因と考えられているのです。そしてその鍵の一つが葉酸という考え方です。

 

実は、発達障害とメチレーションには大きな関わりがあります。
例えば、自閉症の方の98%が低メチレーションであり、ADHDの方の68%が高メチレーションである、というデータがあります。他にも、拒食症の方の80%が低メチレーションだったり、うつ病の方の38%が低メチレーションだったりと、様々な疾患との関連が認められています。

自閉症の子供が生まれる要員の一つが、妊娠中の未代謝葉酸サプリメントによるメチレーション異常によるものであることは、ベン・リンチ博士の研究によって知られていることですが、もっと一般の方にも広く認知されないといけないと感じています。

私も、クライアントの妊婦さんや妊活中の方には繰り返しお伝えするようにしていますが、たまたま連絡をくれた妊娠中の友人がサラッと飲んでいて、慌てて止めることもあったりして。分子栄養カウンセラーは、もっと頑張らないといけないなぁと感じさせられます。

 

低メチレーションと高メチレーションは一見真逆ではありますが、メチレーション回路が正しく回っていないという点において、この二つは基本的な対策では共通しているところがたくさんあります。

というわけで、次で、どちらにも共通した対策についてご説明します。
当然ながら、それぞれに(特に自閉症に関しては研究が進んでいるので)フォーカスした方がより精度が高いのですが、ここでは概論として、多くの人に気を付けてもらいたいことを挙げることにします。

 

具体的な対策

まず最初に取り組むことが以下の3つです。

  • 腸内環境の改善
  • 血糖コントロール
  • 炎症対策(腸・脳)

具体的には、食事改善が中心となりますが、こんなことから試してみましょう。

✔︎ 小麦製品を控える(グルテンフリー)
✔︎ 乳製品を控える(カゼインフリー)
✔︎ 精製糖を控える
✔︎ 化学調味料を控える
✔︎ 人工甘味料を控える
✔︎ カフェインを控える
✔︎ アルコールを控える
✔︎ 血糖値の安定→フリースタイルリブレの活用
✔︎ 一日三食で三大栄養素をしっかり摂る→栄養計算アプリの利用
✔︎ 良質な糖質で補食を取り入れる
✔︎ 和食中心がおすすめ(まごわやさしい)
✔︎ たんぱく質をしっかり摂る→毎食手の平の大きさ分
✔︎ 食物繊維をしっかり摂る→ご飯にもち麦を混ぜたり、お野菜を摂る
✔︎ 糖質制限はしない
✔︎ 糖質過剰にも注意する
✔︎ 大根おろしを添える(キウイやパイナップルも◎)
✔︎ 週に3日はお魚メニューにする
✔︎ あおさやわかめなどの海藻類を取り入れる
✔︎ 小魚をおやつやお出汁に使う
✔︎ ブロッコリースプラウトを毎日食べる
✔︎ ボーンブロスの活用
✔︎ よく噛んでゆっくり食べる

ここに挙げた内容は、分子栄養学のクリニックにかかっても最初にやることになります。
クリニックにかかるにせよ、かからないにせよ、発達障害の症状改善にはマストな内容です。

また、血糖値のコントロールやグルテンフリーに関しては、以前に記事を書いているので、リンクを貼っておきます。ご参照ください。

今日からできる低血糖ケア♪補食の極意まとめ

レベル別♪グルテンフリー2週間チャレンジのススメ

血糖値ケアもグルテンフリーも、なかなか一人では難しいところが大きいので、そのために分子栄養カウンセラーがいます。パーソナルトレーニングのように、導入部分を慣れるまでは一緒にやってもらうというのも一案なので、検討してみてください。

ちなみに、発達障害の方がグルテンフリーをすべき理由は、グルテンがグルタミン酸を多く含むというところもあります。上の記事ではそこには触れていませんが、普通の方よりもグルテンフリーをする意義が非常に大きいので、ぜひ継続してみてください。

 

サプリメントも有効というか必須ではあるのですが、まずは食事でしっかり栄養を摂ることと、毒になるものを取らないことが一番大事です。その上で取り入れるなら、消化酵素とプロバイオティクスから始めると良いと思います。

消化酵素とプロバイオティクスのおすすめはこちら。

 

消化酵素

Enzymedica, Digest Basic、180粒

品質も良く、コストパフォーマンスが高いので、初めての方におすすめの消化酵素です。iHerbで気軽に購入できるのも良いところ。粒が小さくて飲みやすいので、サプリメントのカプセルが飲みづらい方(発達障害あるある、貧血あるある)にも良いのです。

飲み方としては、お食事の一口目と同じタイミングで、毎食摂るようにします。
基本は一日三回ですが、補食などのときにも使ったりと、特に回数に決まりはありません。

もっと高価で設計の優れたサプリメントもありますが、クリニックや医療関係者しか買えないものも多いので、そちらはまた別途ご紹介します。

 

プロバイオティクス

California Gold Nutrition, LactoBif プロバイオティクス、300億CFU、ベジカプセル60粒

“本当に効果のあるサプリメント”にも選ばれた、こちらのLactoBif。私も効果があると感じて、もう長らくリピートしています。CFU数やカプセル数にバリエーションがあるので迷いますが、一番バランスが良い300億と60粒の組み合わせがお気に入り。

菌系は、一概に良いものというのが言えないのが難しいところ。とりあえずはこのLactoBifを試してみて、あとは体感とお財布との兼ね合いを見ながら、いろいろ試すのが良いです。

また、究極すると輸送方法などにこだわったドクターズサプリがベスト(その分高価)になるので、そこも含めてカウンセラーに相談するのが近道かもしれません。

 

消化酵素とプロバイオティクス以外にも、必要なサプリメントは当然あります。

例えば、こんなもの。

DHA/EPAやビタミンB群、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンK、鉄、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、セレン、リチウム、etc.

ここには、段階に応じて利用するものや、体内に炎症がある場合には使い方が難しいサプリメントも含んでいます。

また、銅/亜鉛比率やカルシウム/マグネシウム比率をチェックしながら足すことが求められますし、血液検査によってモニタリングが必要なものもあり、飲み方や選び方にもコツが要ります。本格的なサプリメントの導入には、しっかり検査が必要になりますので、カウンセラーやドクターにご相談いただくことをおすすめします。

そして、繰り返しになりますが、サプリメントよりも何よりも食事による改善が早道
まずは食べ物で、避けるものと入れるものをしっかり守ってみてください。話はそこからです。

 

発達障害のケア方法のビッグピクチャー

発達障害のケアは、いろいろな疾患の中で最も難易度が高い治療になります。
というのも、体の治療には順番があり、発達障害でネックになっているメチレーションは、順序が一番最後だから。

その順序というのがこちら。

副腎疲労の治療を行ったことがある方には馴染み深いイラストですが、ピラミッドは下から積み上げる(=起こった順番に解決していく)というのが大前提のルールになります。わかりやすいですよね。

ちなみにこのピラミッドの土台が低血糖になっていて、順序としては、[低血糖]→[腸・炎症]→[デトックス]→[ホルモン→エネルギー]→[脳/メチレーション]の順番で治していくと早いですよ、というセオリー。

 

当然ながら、下から順番に行っていくのですが、上でご紹介した具体的な対策は、主にこの[低血糖][腸・炎症]のところで行うことを挙げています。と同時に、[デトックス]に役立つ食べ物や、はたまた、[脳/メチレーション]を阻害しない避けるべき食べ物も含んでいます。

化学調味料や人工甘味料の論争はよくSNSで話題になりますが、結論として、化学調味料や人工甘味料は発達障害の人には禁忌であり、議論の余地はありません。簡単に言うと、グルタミン酸は神経毒性を持つ脳の興奮物質で、脳の炎症になるうるから。そもそも発達障害の方は、GADという酵素を作る遺伝子にエラーがあるため、グルタミン酸をGABAに代謝するのが苦手です。脳内に興奮物質が大量に溜まることになるので、グルタミン酸(化学調味料)とアスパラギン酸(人工甘味料)は絶対NGというわけ。

ご自宅の調味料を見直すのはもちろんのこと、外食の際にも気を配ってあげましょう。また、特に自閉症のお子さんに関しては、ブロッコリースプラウト(スルフォラファン)の効果は顕著なので、毎日食卓に出してあげてください。これに関しては、サプリメントよりも食べ物の方が効果が高いことがわかっています。

それぞれの詳しい機序に関しては、記事にしてみようと思っているので、お楽しみに。

 

終わりに

最後の最後に、最も重要なことが一つあります。
お子さんの発達障害の特性で悩まれているお母さまに最も重要なのが、ご自身のケアをすべしということです。

発達障害は遺伝による関係も大きいので、お子さんが発達障害で悩まれているということは、ご自身も同じ特性を持っている可能性が高いから。

今まで気付かなかったという方は、お子さんを通じて自分の特性に気付くきっかけを与えられたということでもあり、お子さんのおかげでご自身がもっと生きやすくなるということでもありますよね。お子さんのために取り組まれていることが、結果的にご自身のためになるということにも繋がっていますので、これをきっかけに、親子で(ご家族で)ケアをしてみることをおすすめします。

 

ちなみにこのケアは、発達障害以外の方が行っても、もちろん構いません。それどころか、脳のパフォーマンスを高めてくれる方法でもありますし、様々な疾患を予防してくれることにも繋がっていますので、実践するメリットが大きいです。

グルテンフリー製品は、年々バリエーションが広がっているので、以前よりもやりやすくなっていますし、レシピも豊富です。食卓は家族みんなで囲むもの、ですから、ぜひご家族で取り組んでみてくださいね。

 

まとめ

具体的なお食事について、ざっくりまとめるとこんな感じです。

避ける食べ物 積極的に取り入れたい食べ物
★小麦製品
★乳製品
★精製糖
★化学調味料
★人工甘味料
カフェイン
アルコール
和食
たんぱく質
食物繊維
大根おろし
お魚
海藻類
小魚
ブロッコリースプラウト
ボーンブロス

 

今回は、発達障害の方全般に共通する最もベーシックな内容をまとめています。

正直なところ、発達障害の症状や状態は千差万別で、そもそもADHDなのかASDなのかでも対策が変わってきます。なので、詳しいことは信頼できるカウンセラーやドクターに相談されるのがベストですが、まずはここにある内容を正しく実践するだけでも、かなり生きやすくなると思います。

分子栄養学を活用して、生き辛さが軽減して、軽やかに毎日が過ごせることを知ってもらえれば嬉しいです。

 

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