食べたら危険!トランス脂肪酸とパーム油
2020/11/05
おはようございます。分子栄養カウンセラーのmanaです。
今日は、油の選び方の記事で「避けるべき油」として挙げた、トランス脂肪酸とパーム油についてのお話です。
トランス脂肪酸とは?
人工的に水素添加した硬化油に含まれる成分のことで、不飽和脂肪酸の一種です。
「食べるプラスチック」と呼ばれていて、欧米諸国では厳しく制限がされている危険な脂質ですが、日本では規制が遅れており、野放しになっているのが現状です。
こうした水素添加の部分硬化油以外に、高温での加熱や電子レンジでの加熱でも発生するので、レンジの危険性についても同時に認識する必要があります。
ちなみにここで言うトランス脂肪酸とは、人工的に作られたものを指しています。
トランス脂肪酸自体は、乳製品やお肉などにも含まれていますが、天然のものと人工のものとでは作用が異なります。
どんなものに使われているの?
トランス脂肪酸は、マーガリンやファットスプレッド、ショートニングなどの加工油脂に含まれています。例えば、こんなものによく使われています。
- パン
- クッキーやビスケット
- クラッカーやウエハース
- 市販のお菓子全般(ポッキーやルマンド、ホームパイなど)
- 焼き菓子(バウムクーヘンやマドレーヌ)
- タルトやパイ
- 揚げ物
サクッとした食感や軽い口当たりを出すのにはショートニングは欠かせません。
日本では規制がないのでとにかくいろいろなものに入っており、加工品を買っている限りは避けるのがかなり難しいのが現状。
トランス脂肪酸を摂ると?
まず前提として、脂質は細胞膜を形成するのに重要な役割を果たしています。というのも、細胞の内側と外側とを隔てる細胞膜が脂質でできているから。
私たちが食べた油の成分が、その細胞膜の脂肪酸の組成にダイレクトに影響しているので、硬い油を摂れば細胞膜は硬くなるし、柔らかい油を摂れば細胞膜は柔らかくなるという仕組みになっています。
トランス脂肪酸は構造的に硬い油なのですが、こういう硬い油を多く摂ることは、細胞膜が硬くなるということを意味しています。細胞膜が硬くなると柔軟性を失い、柔軟性がなくなると、細胞が傷付きやすくなったり、機能の低下をもたらすのです。
さて、人間の体の中で、脂質が多く使われているところはどこでしょうか?答えは脳です。
脳には多くの脂質が使われており、悪い油を摂ることは脳のパフォーマンスを下げることにも直結しているのです。
トランス脂肪酸による代表的な例が、アルツハイマー病と心臓病。
つまり、これらの予防のためには、悪い油を避けるのが一番というわけなのです。
悪い油を摂りながら、一生懸命勉強したりリハビリしたりするのって、火をつけながら消火活動をしているようなもの。脳機能を改善したかったら、こだわるべきはまず油なのです。
避ける方法
上に挙げたように、トランス脂肪酸は私たちの口にするあらゆるものに入り込んでいます。
避けるのに一番良い方法は、これに尽きます。
✔️ 自分で材料を揃えてお家で手作りする
大体のものはお家で作ることができるので、材料を吟味して手作りするのが一番簡単な方法です。
パンはホームベーカリーを活用したり、クッキーや焼き菓子は材料を混ぜるだけで作れるレシピもあります。
が、なかなかそうもいかないのが現状ですよね。
✔️ 原材料をチェックする
パンやお菓子、揚げ物や加工品を買う際には、以下の表記がないか確認してみましょう。
- ショートニング
- マーガリン
- ファットスプレッド
- 植物油脂
- 食用植物油脂
植物油脂や食用植物の場合、トランス脂肪酸を含まないものもあるので一概には言えませんが、あとで説明するパーム油の可能性も高いので、私は不確定なものは手に取らないようにしています。
✔️ 良いお店を見つける
パン屋さんで買う場合、パッケージがないので原材料が書いていないことがほとんどですが、原材料を聞けば教えてくれます。
もし使われている油脂が全てバターだったら、こだわって作っている可能性が高いです。恐らくそこは、お味のクオリティもお値段もそれなりに高めのはず。そんなパン屋さんであれば、ぜひ買って応援してあげてください。
我が家では、VIRONやエディアールのパンを買うことが多かったです。(最近はグルテンフリーをゆるく続けているので、すっかりパンを買わなくなってしまいましたが、もし次に食べるときにはこれらのお店を利用すると思います。)
*こうやって原材料を見て選ぶと、残念ながら、普通のスーパーで売られているお菓子やチェーン展開のパン屋さんのパンには、トランス脂肪酸が含まれていることがほとんどかもしれません。買うものがないと思ったら、それはご自身が正しい知識を付けることができた第一歩だと思って、喜んでくださいね。
*余談ですが、トランス脂肪酸への意識が高い(規制がある)諸外国では、「トランス脂肪酸フリー」の表記があることが多いです。輸入食品はもちろん、海外旅行に行かれた際にはそんな視点でチェックしてみるのも面白いですよ。
パーム油について
以前はトランス脂肪酸を避けるだけで良かったのですが、パーム油にも触れておく必要があります。
というのも、近年このパーム油がトランス脂肪酸の置き換えに使われていることが多いから。
トランス脂肪酸ほど詳細には触れませんが、サラッと以下に記しておきます。
パーム油とは?
アブラヤシから取れる油脂のことで、ココヤシから取れるココナッツオイルとは別物です。
食べ物に使われるときには、原材料名には「植物油脂」や「食用植物油脂」と表記されます。これが菜種油なのかパーム油なのか大豆油なのかの判別が難しく、注意が必要です。
安価で大量生産ができ、トランス脂肪酸を含まないため、今までのトランス脂肪酸の代わりに使われることが増えています。
どんなものに使われているの?
インスタントラーメンやお惣菜、ファーストフード、お菓子やアイスクリーム、チョコレートなどに使われています。
例えば、コーヒーフレッシュは乳製品ではなく植物油の塊なので、使ってはいけないものの代表ですが、以前はトランス脂肪酸でできていました。最近はトランス脂肪酸フリーを謳うものも多く、その場合にはパーム油などの粗悪な油で置き換えられるようになりました。
トランス脂肪酸フリーのマーガリンなどもそうですが、これらは見かけだけの健康志向なので、いずれにしても使ってはいけないものには変わりありません。
パーム油の害
- 有機溶剤(ヘキサン)による抽出法
- 酸化防止剤(BHA)の使用
- 環境ホルモン
- 環境問題
- 労働問題
人間の体への害が大きいのはもちろんのこと、熱帯雨林の減少やそれに伴う生態系の絶滅、プランテーションの労働問題なども含まれています。
日々の私たちの買い物はいわば投票なので、自分の支持するものがどんなものなのか、きちんと知ることも大事ですね。
まとめ
今回のポイントは、この5つ。
✔️ トランス脂肪酸を避けるとアルツハイマー病や心臓病の予防になる
✔️ 脳機能の向上にはトランス脂肪酸を摂らないこと
✔️ できるだけお家で手作り推奨
✔️ 原材料チェックの習慣化
✔️ パーム油も怖い!
健康のために意識的に何かを摂ることも良いのですが、悪い油や添加物を摂らないことももっと大事です。足すことよりも引くことの方がすぐに実践しやすいので、ぜひ心がけてみてくださいね。
この次の第3弾では、実践テクニックをご紹介しています。
よろしければ、併せてご覧になってみてください。
それでは、また。