あなたのメチレーションタイプは?葉酸サプリが合う人合わない人

   

こんにちは。分子栄養カウンセラーのmanaです。
今日はメチレーションタイプについてのお話をしてみたいと思います。

 

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メチレーションとは?

前回の発達障害のところでメチレーションについて軽く触れました。

栄養療法で発達障害の特性を活かして付き合う秘訣

メチレーション回路では、神経伝達物資の合成や解毒、DNAの合成などに重要な役割を担っており、自閉症の方の98%が低メチレーションであり、ADHDの方の68%が高メチレーションであるというお話でしたね。

今日はこのメチレーションについて、もう少し深掘りしていくことにします。

 

 

メチレーションのタイプ

以前触れましたが、メチレーションには2つの特徴的なタイプがあります。
低メチレーション(アンダーメチレーション)と高メチレーション(オーバーメチレーション)です。

⇨私たち分子栄養界隈では、低メチレーションのことを“低メチ”、高メチレーションのことを“高メチ”と略して呼ぶこともあります。

低メチレーションとは、メチレーション回路がうまく回らず、メチル基(-CH3)が不足しているタイプのこと。一方の高メチレーションはその逆で、メチレーション回路が回りすぎて、メチル基が余ってしまっているタイプのこと。

 

低メチレーションと高メチレーションとでは性質が真逆なので、合う薬も変わってきます。同様に、サプリメントでも合う合わないが変わってくるので、自分のメチレーションタイプを知ることはかなり大事です。

例えばうつ病の場合、一方のタイプには効果の高いSSRIというお薬が、もう一方のタイプでは希死願望などの副作用が出ることもあるほどの違いがあります。つまりは「うつ病」と病名で一括りにしてお薬を処方してしまうと、大きな間違いに繋がる可能性があるのです。

同じうつ病でも、セロトニン不足の人もいれば、セロトニン過剰の人もいます。
そこを知らずに、「うつ病=セロトニン不足(モノアミン仮説)⇒SSRI」という昔の知識で短絡的に処方すると、かえって症状悪化を招き、とんでもないことになるというわけ。

 

分子栄養学では、個体差を重要視していますが、それはつまり、病名ではなく病態にアプローチすることでもあります。対症療法ではなく根本原因にアプローチすることが重要なのです。

先ほどの例で言うと、例えばうつ病であれば、脳の神経伝達物質の状態に着眼することが不可欠です。これを把握せずに治療を始めることがいかに危険であるかは、先ほどのSSRIのケースでわかります。

自分がかかった病院で、本質的なアプローチをしてくれるとは限りません。でも、自分が高メチレーションだろうと知っていたら、SSRIは飲まずに済むことができます。つまりは、常に自分のことをきちんと知り、自分が一番のドクターになる心がけがとても大事なのです。

 

あなたはどちらのメチレーションタイプ?

さて、それではあなたはどのメチレーションタイプでしょうか?
レベルは人それぞれですが、おおまかにどちらかのタイプには分けられます。(どちらでもないという方は、普通のタイプ。)

低メチレーションと高メチレーション、それぞれの特徴を挙げてみます。

低メチレーションタイプ 高メチレーションタイプ
  • 完璧主義
  • アレルギー体質
  • 強迫神経症状
  • 筋肉が付きやすい
  • 性欲が強い
  • 何かに依存しやすい
  • 競争心が強い
  • 成績が良い
  • 痛みに弱い
  • 自閉症スペクトラム
  • ルーティンを好む
  • 不安感、パニック症状
  • 芸術的・音楽的センスが高い
  • 早口
  • 多動
  • 不眠
  • 痛みに強い
  • 筋肉が付きづらい
  • 誇張傾向あり
  • 化学物質過敏症
  • 気立の良い優しい気質
  • 学業不振
  • ドライアイ・口が乾きやすい
  • 次々にアイディアが浮かび思考がまとまらない

左右を見比べて、どちらが自分に当てはまるものが多いかでざっくり判断してみましょう。自分のタイプがわかったら、次からの取説も参考にしてみてくださいね。

 

低メチレーションの取扱説明書

低メチレーションタイプは、メチレーション回路が回っていないためにメチル基が不足し、常にセロトニン・ドーパミン不足な状態です。

ドーパミン不足だとドーパミンへの渇望から依存症(ギャンブル・お酒・タバコ・砂糖・小麦、etc.)になりやすく、何かに固執しやすかったりルーティーンにこだわったりと、強迫神経症のような状態になることも多いです。過去の出来事に執着するケースもあります。完璧主義で競争心が強く、負けず嫌いという特徴が状態をよく表しています。

ヒスタミンがメチレーション回路で処理されないために過剰になり、アレルギー体質になりがち。花粉症やアトピー、アレルギー性鼻炎などがある方が多いです。

また、SAMeがクレアチン合成に使われるため、筋肉が付きやすいのも特徴。テストステロンが高く、性欲が強い傾向にあり、その一方で、痛みには弱い傾向があります。

一説には、低メチレーションタイプは学業成績が良く優秀で、上流家系であることも多いと言われています。そのため、低メチレーションタイプ同士の結婚も多く、低メチレーションは遺伝要因でもあるために、自閉症児(低メチレーション)が生まれる確率が高いというデータもあります。

知っておけば対策ができるので、低メチレーションでお子さんをお考えの方は対策は必須。ポイントは抗酸化、抗炎症、腸内環境、デトックス。そして、サプリメントには注意しなければなりません。

日々の生活に取り入れられるベーシックな対策は、こちらの記事に載せています。

 

低メチレーションの疾患

様々な疾患において、低メチレーションはこんな割合で存在します。

自閉症スペクトラム 98%
反社会的人格障害 95%
統合失調感情障害 90%
反抗挑戦性障害 85%
神経性食思不振症 82%
うつ病 38%
健常人 22%

自閉症はほぼ全員が低メチレーションであることが特徴的で、反社会的人格障害や統合失調感情障害もほぼ低メチレーションです。また、それ以外の精神疾患にも一定数いることがわかります。

 

低メチレーションが気を付けたい薬とサプリメント

低メチレーションの人が気を付けるお薬とサプリメントはこんなものです。

✔︎ SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の効果が出やすい
✔︎ 抗ヒスタミン剤の効果が出やすい
✔︎ セロトニンを増やすサプリメント(5HTPやトリプトファン)と相性が良い
✔︎ メチル基を増やすサプリメント(SAMeやメチオニン)と相性が良い
✔︎ 葉酸サプリメントはNG
✔︎ ベンゾジアゼピンはNG
✔︎ コリン、DMEAはNG
✔︎ ナイアシンは合わない

葉酸サプリメントにはくれぐれもご注意くださいね。

 

低メチレーションに合う食事

低メチレーションの人は、こんな栄養素が大事です。

  • メチオニンを多く含む食品
  • トリプトファンを多く含む食品
  • マグネシウムを多く含む食品
  • たんぱく質をしっかり摂る
  • お肉を中心に、お魚や海藻類も取り入れる
  • 大型魚は避ける

メチオニンはお肉や魚介類や大豆製品に多く含まれており、トリプトファンは魚介類や卵に多いため、たんぱく質を意識して摂れば、自然と食べられるものが多いです。マグネシウムは海藻類に特に多いので、毎食足すように心がけてみてください。

トリプトファンは乳製品にも多いのですが、カゼインは脳の興奮物質となりやすく、あまりおすすめできないので、魚介類などで摂るのがおすすめです。

また、解毒の問題が起きやすいため、水銀を多く含む大型魚には注意が必要。マグロなどは週1回ぐらいまでに留めて、小さなお魚を選ぶのもポイントです。

以前こちらの記事に書いたように、グルテンフリーやカゼインフリーをし、化学調味料や人工甘味料を避けることはとても大事です。ミネラルの無駄な消費が防げます。

そして、低メチレーションタイプにはベジタリアンやヴィーガンはご法度です。
低メチレーションタイプはたんぱく質が鍵なので、意識的に召し上がってくださいね。

 

高メチレーションの取説

高メチレーションタイプは、メチレーション回路が亢進しているため、メチル基が過剰に余っています。本来はSAMeが筋肉の合成に多く使われるところ、筋肉の合成に問題があるためにSAMeが余り、セロトニン・ドーパミンが過剰生成されるのです。

セロトニンが多いために不安やパニック症状が出ることも多く、不眠やうつ症状も。また、ドーパミンの作用により、芸術センスや音楽センスが高いことも特徴で、早口だったり多動だったりの傾向もあります。

食物アレルギーや化学物質過敏症は多いものの、アレルギーは少ないと言われています。というのも、たくさん余っているSAMeがヒスタミンを代謝してくれるから。

また、痛みに強く、誇張癖のある人も。話し始めると止まらなくなるのも特徴です。

 

高メチレーションの疾患

様々な疾患における高メチレーションの割合がこちら。

パニック障害 64%
妄想型統合失調症 52%
ADHD 28%
行動障害 23%
うつ病 20%

低メチレーションほどの高い数字ではありませんが、パニック障害や妄想型統合失調症は過半数が高メチレーションという結果です。

 

高メチレーションが気を付けたい薬とサプリメント

高メチレーションの人が気を付けるお薬とサプリメントはこんなものです。

✔︎ SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は副作用が大きすぎるためNG
✔︎ メチル基を増やすサプリメント(SAMeやメチオニン)はNG
✔︎ セロトニンを増やすサプリメント(5HTPやトリプトファン)はNG
✔︎ ベンゾジアゼピンは効果が出やすい
✔︎ 葉酸サプリメントは効果が出やすい
✔︎ コリン、DMEAは効果が出やすい
✔︎ ナイアシンは効果が出やすい

とにかく、SSRIにはご注意を!
飲むと衝動性や攻撃性が高まったり希死願望が出ることもあり、悪化します。

薬名は様々ですが、こんな名前で出されます。

ジェイゾロフト
デプロメール ルボックス
パキシル
レクサプロ

高メチレーションの人は、くれぐれも飲まないように気を付けてください。

 

高メチレーションに合う食事

高メチレーションの人は、こんな栄養素が大事です。

  • お肉類は食べすぎない
  • 野菜・海藻・きのこ類などを意識的に摂る

低メチレーションとは逆で、メチオニンなどの摂りすぎに注意が必要です。
お肉中心の献立は体に合わないため、大豆製品や卵などの利用がおすすめ。

低メチレーション同様、グルテンフリーやカゼインフリー、化学調味料や人工甘味料を避けることは有効です。詳しくはこちらの記事をご覧くださいね。

 

精神疾患の5つの原因

ここからはおまけのお話なので、サラッと概要だけお伝えします。
精神疾患の原因は5つに大別でき、実はそのうちの2つがこの低メチレーションと高メチレーションです。

うつ病の38%が低メチレーションで、20%が高メチレーションという結果は上に挙げた通り。では、残りの42%はどうなっているでしょうか?

 

こんな内訳になっています。

銅過剰タイプが17%、ピロール異常タイプが15%、重金属蓄積タイプが5%です。
(高メチレーションのことは、葉酸欠乏と言い換えられることも多いです。)

銅過剰タイプではドーパミンの低下が低メチレーションと同じで、ノルエピネフリンの上昇があります。一方のピロール異常タイプはセロトニンとドーパミンの低下が低メチレーションと同じで、そこにさらにGABAの低下が見られます。

 

何かと一括りにされがちなうつ病ですが、病名ではなく病態に着目すると治療方針も全く変わってくるので、このタイプの見極めが不可欠です。

そして、うつ病を含む気分障害は、脳という最も難易度の高い治療になりますので、アプローチも下からの積み上げが大事。以前もお伝えしましたが、[低血糖]→[腸・炎症]→[デトックス]→[ホルモン→エネルギー]→[脳/メチレーション]という順序でケアすることになります。

 

最後に

今回のテーマであるメチレーションタイプは、上に挙げた特徴からの自己診断ではなく、クリニックできちんと調べることも可能です。ただし、自費診療なのでかなり高価で、10万円前後ぐらいでしょうか。

それ以外にも、ヒスタミンや白血球像の好塩基球数、SAMe/SAH比から判断することもできます。

疾患のある方は、分子栄養学に詳しいドクターにご相談いただくことをおすすめします。
そして、特に疾患のない方は、ご自分のタイプをざっくり知り、ご自身に合ったお食事を続けられることができますように。

 

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