中鎖脂肪酸って最強?!
2021/06/26

こんばんは。分子栄養カウンセラーのmanaです。
今日は、油の消化吸収についてのお勉強をしてみましょう。
油の種類
まずは復習からです。以前に、こちらの記事で油の種類についてご説明しました。
飽和脂肪酸 | 中鎖脂肪酸 | ココナッツオイル、MCTオイル | |
長鎖脂肪酸 | バター、ギー、ラード、ヘット(牛脂)、鶏油 | ||
不飽和脂肪酸 | ω-9 | オリーブオイル、菜種油、米油、アボカドオイル | |
ω-6 | 大豆油、コーン油、グレープシードオイル、胡麻油 | ||
ω-3 | 亜麻仁油、魚油、荏胡麻油、紫蘇油 |
私たちが口にする油は、飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸だったり、中鎖脂肪酸と長鎖脂肪酸だったり、その構造により2種類に大別することができるというお話でした。
脂質の消化吸収プロセス
脂質の消化吸収は、簡略化するとこのようなプロセスになっています。
脂質(+膵リパーゼ) ⇒ グリセロールと脂肪酸に分解 ⇒ 胆汁酸によって脂肪酸がミセル化されて小腸へ ⇒ 再びトリグリセリドの形になり ⇒ リンパ管へ ⇒ 静脈を通って ⇒ 肝臓へ |
・グリセロール・・・解糖系でエネルギー産生に使われる
・脂肪酸・・・カルニチンによってミトコンドリア内に運ばれ、電子伝達系でエネルギー産生に使われるか、ケトン体へ
まとめると、脂質代謝のポイントは、
✔ 脂肪酸の吸収には胆汁酸が重要
✔ 電子伝達系に運ばれるためにはカルニチンが必要
というところ。
これだけ長い経路を辿り、その人のリパーゼやカルニチンの能力も関わってくるので、油は消化しやすい栄養素ではないというのが理解いただけるかと思います。病み上がりに揚げ物や焼き肉に行かないのも納得。油物を食べると胃もたれする人やお腹を壊す人が多いのも、油は消化するのが大変だからだということがわかりますね。
中鎖脂肪酸の消化吸収プロセス
ところが、油の中でも中鎖脂肪酸だけは例外で、上のような代謝経路を経ません。
なんと!タンパク質や炭水化物と同じ経路で吸収されるのです。油なのに?!と、分子栄養学の講座でもちょっと湧くところ。
こちらも簡略化すると、このようなプロセスになっています。
脂質(+膵リパーゼ) ⇒ グリセロールと脂肪酸に分解 ⇒ (ミセル化なしで)毛細血管へ ⇒ 門脈を通って ⇒ 肝臓へ |
・グリセロール・・・解糖系でエネルギー産生に使われる
・脂肪酸・・・ミトコンドリア内へも、カルニチンなしで入ることができ、電子伝達系でエネルギー産生に使われるか、ケトン体へ
ということは?
✔ 電子伝達系に運ばれるためのカルニチンが不要
✔ 消化能力に関わらずエネルギーとして利用しやすい
ということ。
糖質制限をしていたり、栄養療法のクリニックに行くと、中鎖脂肪酸を利用するように薦められますが、それもそのはず。中鎖脂肪酸は、消化能力が弱っている人でも簡単にエネルギーとして利用できるからなのですね。胆汁酸の分泌が弱い方にもおすすめできるのが中鎖脂肪酸なのです。
最近では、胃酸での加水分解で消化されるということもわかってきて、
✔ 分解のための膵リパーゼが不要
とも言われています。
膵リパーゼも胆汁酸も要らず、リンパ管などの長い経路を経ずに代謝されるとなると、最強と言わざるを得ませんよね。
中鎖脂肪酸のメリット
それでは、中鎖脂肪酸のメリットをまとめてみましょう。
- 消化吸収が速い(長鎖脂肪酸の4倍のスピードで吸収)
- すぐにエネルギーになる(長鎖脂肪酸の10倍のスピードで代謝)
- カルニチンなしでもミトコンドリアに運ばれる(=エネルギーとして利用しやすい)
- 消化能力が低くてもエネルギーが作れる
ここまでが、上でご説明したことでした。
それ以外にも、こんな特徴があるのです。
- 抗菌作用や抗炎症作用、殺菌作用がある
- 脳のエネルギーになりやすい
- ケトン体モードになりやすい
- インスリン感受性アップ
- 低血糖ケアに最適
- 糖質制限中のエネルギー補給にぴったり
中鎖脂肪酸、良いかも?と思われた副腎疲労のあなた、正解です。
次回は、具体的にどんな中鎖脂肪酸を選ぶのかという観点でお話する予定です。
ココナッツオイルなのか、MCTオイルなのか、お楽しみに。
あなたに合った油の摂り方については、個別カウンセリングよりご相談をお受けしております。
それぞれの方のライフスタイルやお身体の状況に合わせたお食事法を知って、自分のメンテナンス方法を学んでいきましょう。
それでは、また。