卵の雑学9選

      2021/04/13

こんばんは。分子栄養カウンセラーのmanaです。
今日も卵のお話の続きをしてみたいと思います。今回は後編で、一旦これで終わりです。

 

 

卵のお話の前編と中編は、まずこちらからお読みくださいね。

卵は優秀なたんぱく源♪卵の栄養学とそのデメリットも解説

私の卵の選び方!おすすめの卵もご紹介♪

卵の栄養学から、私のお気に入りの卵をご紹介しています。

 

卵の雑学9選

さて、今日は気楽な雑学編ということで、卵の面白いお話をまとめてご紹介してみます。
ご存知のことも多いと思いますので、いくつ知っていたか数えていただいても面白いかもしれません。

では、スタートです。

 

赤玉か白玉かこだわるべきは

卵の殻の色には白色と茶色(最近は中間色の桜色も)があり、それぞれ「白玉」「赤玉」と呼ばれています。赤玉の方がお値段が高いこともあり、栄養価も高そうなイメージですが、この両者の栄養成分に違いはありません。こだわるべきは殻の色ではなく、飼育方法と飼料というわけです。

殻の色はニワトリの種類の違いで、一説には、赤玉を産むニワトリの方が産卵率が低い上に体格が大きく、エサをたくさん食べるので費用がかかるから値段が高くなるとも言われていますが、最近は品種改良も進み、一概には言えないのだそう。

自然派の卵は茶色の殻であることがほとんどですが、その理由は、茶色の卵を産むニワトリの種類(ボリスブラウンやノボブラウン)が穏やかで飼いやすい品種であるから。気性が荒いと平飼いや放し飼いが難しいので、ボリスブラウンのような環境の変化に強く、病気やストレスに強い品種が選ばれるというわけなのです。

ちなみにボリスブラウンは、採卵用だけでなく食肉用にもなる品種。平飼いで飼料にもこだわって育てれば、お肉も安心していただくことができるので、実際にそのようにされている農家さんも多くあります。

 

「卵黄の大きさはどのサイズも一緒」ではない

卵にはサイズがあり、スーパーで売られている多くはM玉です。一方私が買っている自然派の平飼い卵は、サイズミックスなことがほとんどで、S玉もあればL玉もあり、1パックのトータルの重さで売られていることが多いです。そのため、卵の大きさの仕組みについて知っておくと、なかなか興味深いというわけなのです。

まず、農林水産省で定められた規定で、殻を含めた重量は以下のように決まっています。

S玉 46g〜51g
M玉 58g〜63g
L玉 64g〜69g

(※他にMS玉やLL玉などもあります。)

これを踏まえて殻なしの重量を、S玉は40g、M玉は50g、L玉は60gとすることが多く、レシピで卵1個と書かれている場合には、M玉換算で50gを目安に考えるのが一般的です。

さて本題。よく「卵のサイズが変わっても卵黄の大きさは同じ」「卵黄と卵白のバランスが一番良いのはM玉」などと言われますが、これらは正確には誤りです。実際私が買っている卵も、大きな卵と小さな卵とでは、卵黄の大きさはかなり違います。

前提として、小さい卵は若いニワトリが、大きい卵は2〜3年目以降のニワトリが産むと言われており、その理由は産んでいるうちに卵管が太くなるから。また、卵そのものだけでなく、卵黄も歳を取るにつれて大きくなるので、2〜3年目のニワトリの卵黄の方が若いニワトリの卵黄よりも大きいのです。となると、ポイントは、経年により卵そのものの大きさが大きくなる割合と、卵黄が大きくなる割合のバランスということでしょうか。

ということで、卵の大きさの変動要因をまとめてみました。

  • 卵そのものの大きさは経年で大きくなる
  • 卵黄の大きさも経年で大きくなる
  • 卵そのものの大きさは体調によって変化する
  • 卵白の量も鶏の体調によって前後する
  • 一方で卵黄の大きさは一定である
  • 夏場は食欲が減退するので卵が小さくなる

これらを総合すると、同じM玉であっても、2〜3年目のニワトリが産んだ小さめの卵は卵黄の比率が高くなるし、若い鶏が産んだ大きめの卵は卵白の比率が高くなるので、“卵黄のサイズが同じ”でないことはもちろん、“M玉が最もバランスが良い”などとは一概に言えないという結論になるのです。

私が買っている卵でも、大きな卵で大きな卵黄のこともあれば、大きな卵なのに卵黄は普通サイズのこともありとバラバラです。が、S玉が大きな卵黄だったことは一度もないので、納得ですね。

実際のところ、自然派の卵の方がこのばらつきが大きく、季節による変動も大きいのです。というのも、平飼いや放牧の場合、気温や飼料が変動するから。そのため、夏は夏バテをしやすかったり、卵白がだれやすくなったりもするのです。むしろ、ケージ飼いの安価な卵の方が均一なので、何だか卵も工業製品のよう。個人的にスーパーの均一な卵を見ると、真っ直ぐで同じ長さに揃ったきゅうりを思い出させられ、これが自然なのかしらと考えさせられます。

お菓子作りでは卵の大きさをグラム単位で計量するのであまり気にならないというのが実情ですが、お料理でも、卵黄が小さかったり、卵白が少なめだったり、そんなバラつきも楽しむ余裕を持ちたいものです。

 

卵白に付いている白い紐(カラザ)はぜひ食べて!

卵白に付いている白い紐のようなもの、カラザといいます。お菓子作りをされていると、卵白と卵黄のどちらに入れようか、捨てようか迷うこともあるでしょうか。結論から言うと、カラザは栄養価が高いのでぜひ食べましょう!

カラザはそもそも卵白の一部で、紐状の形をしており、卵黄を卵の中央に固定する働きをしています。中央に固定することで、栄養豊富な卵黄が常に卵白に包まれた状態になり、露出することによる破損や腐敗を防いでいるというわけなのです。

カラザはタンパク質やアミノ酸が豊富なだけでなく、シアル酸が多く含まれています。シアル酸は母乳や燕の巣にも含まれていますが、免疫力を高め、美肌効果のある成分。

もちろん、含まれていると言っても微々たる量なので、卵1個分を食べたからと言って劇的に変わるものではありませんが、せっかく入っているのですから、カラザがあっても変わらないお料理であれば、一緒にいただきましょう。

私も、プリンや茶碗蒸しなどの食感を大切にするお料理では濾してしまいますが、栄養のことだけを考えると、濾さずに作る方が良いという側面もあります。ここぞの日には丁寧に濾して、日々のお料理ではそのままいただくのも一つですね。

 

ホントは丈夫?人も支えられるパワー

割れやすいイメージのある卵ですが、実はある一定条件を満たすと、人が乗っても割れないぐらい強いのです。その条件とは、上下の圧力です。1個当たり3kgの力に耐えられると言われており、16〜7個あれば50kgの人を乗せることができる計算になります。

この形はシェル構造と呼ばれ、いろいろなものに使われています。また、橋などで使われるアーチ型構造も、シェル構造と理屈は同じですね。

裏を返せば、横からの衝撃には弱いので、必ず上下から力がかかるように工夫するのがポイント。スーパーで買ったものを袋詰めする際には、必ず卵を袋の一番下に入れるのが大事です。

 

卵の保存はどっちが上?

基本的には、パックのまま冷蔵庫に入れれば良いのですが、詳述してみましょう。

  • 尖った方を下に向けて
  • 必ず冷蔵庫で
  • ドアポケットではなく(振動・温度差がない)安定した場所で

保存するのがベストです。

卵には気室という空間があり、そこから呼吸をしています。卵が古くなって卵白の二酸化炭素が抜けても卵黄が飛び出さないのは、この気室のおかげでもあるのです。気室は卵の丸い(鈍角の)方にあるので、気室を上に向けておこうというわけ。

また、横からの衝撃や振動に弱く、温度変化にも弱いので、ドアポケットの卵ケースは使わずにおきましょう。

 

新鮮な卵の見分け方

新鮮な卵の見分け方はこんな方法があります。

✔️ 殻がザラザラしている
✔️ 光にかざすと透ける
✔️ 塩水に入れると沈む
✔️ 割ってみると卵黄が盛り上がって高さがある
✔️ 卵白が2層に分かれて内側(濃厚卵白)が盛り上がっている
✔️ 卵白が白濁している
✔️ 卵黄にシワがなくハリがある(爪楊枝が刺せる)
✔️ 卵黄と濃厚卵白、水様卵白の割合が同率

ちなみに、塩水に入れたものはなるべく早く使うようにしましょう。というのも、卵の表面には無数の穴が空いており、そこからの微生物の侵入を防ぐためにクチクラ層と呼ばれるザラザラしたガードで覆われているのですが、塩水で洗い流すことによってそのガードが剥がれてしまうのです。同様の理由で、卵を洗って保管することもNGですよ。

 

「卵」と「玉子」の書き方の違い

皆さんは、たまごという漢字で「卵」と「玉子」をどう使い分けていらっしゃるでしょうか?諸説あり、例外も多いのですが、一番よく言われるものをまずご紹介してみたいと思います。

  • 「卵」は孵化して育つ生き物のたまごのことで、生物学的な意味で使われます。ニワトリ以外に、虫や魚のたまごもこちらの漢字を使います。
  • 一方「玉子」は食用のものを指し、一般的にはニワトリの卵を表します。

さらに、食材のニワトリのたまごについての使い分けは、こんな説も。

  • 加熱前の生の状態のものを「卵」
  • 加熱調理されたものを「玉子」

確かに、生の状態のもので使われる「生卵」「卵かけご飯」は一般的ですし、「玉子焼き」「玉子丼」なども目にする表記でしょうか。

ところが、「茹で卵」「錦糸卵」など、加熱している卵料理でも「卵」を使うケースもあり、「卵焼き」のようにどちらの表記も見るものもあるので、一概には言えないというところも大きいよう。他にも、生の形に近いものは「卵」と表記するという説もあり、だから「茹で卵」「温泉卵」は見た目が生卵と同じ形状だからOKなのだという説明もできそうです。

その一方で、NHKでは「卵焼き」と表記する方が望ましいとしていることもあります。

NHK放送文化研究所 | 最近気になる放送用語 卵焼き?玉子焼き?

迷ったら「卵」を使うと良いという意見もありますし、実は私も、「たまごやき」は「卵焼き」がしっくり来ます。

言葉も生き物ですので、今後変わっていくこともあるのかもしれませんね。

 

スポンジケーキには新鮮な卵を使う理由

お菓子作りをしていると、新鮮な卵を使うように書いてあることが多いと思います。その理由はいくつかありますが、一番大きなところは、卵白のたんぱく質の劣化です。

メレンゲでケーキが膨らむのは、卵白のたんぱく質の粘性と表面張力によって泡が立ち、それが保たれるから。ところが、古くなってくると水っぽくなり、その粘性と表面張力が小さくなることから、泡立ちやすくなる一方で、泡の安定性がなくなるのです。

実際のところ、古い卵はコシがなくてよく泡立つので、新しい卵に比べてすぐに生地が仕上がり、焼くと非常によく膨らみます。でも、その泡をキープする力がないのでその分萎んでしまい、結果的にボリュームのないスポンジになってしまうのです。

ベーキングパウダーを使わない本物のレシピでシフォンケーキを焼くと一目瞭然で、焼成中は古い卵で泡立てた生地の方が膨らみが大きいのです。ところが、取り出して冷ますと一気に萎んでしまい、結果的に質感が悪くなってしまうというわけ。

他にも、卵黄は脂質が含まれているので、その酸化は風味に微妙な変化を感じさせることもあるでしょうか。いずれにしても、買ったら早めに使い切るようにしましょう。

 

茹で卵に向くとは

ケーキに向くのは新しい卵でしたが、古い卵の方が楽なお料理もあります。それが茹で卵です。
茹で卵の殻を剥くとき、なかなかきれいに剥がれずにボロボロになってしまった経験を持たれる方もいらっしゃるでしょうか。

新鮮な卵には、卵白に二酸化炭素が多く含まれています。これが加熱によって急激に膨張し、卵殻膜を殻に押し付ける状態になってしまうため、殻が剥きにくいというわけなのです。お味の面でも、二酸化炭素が多いと食感がパサパサなるので、1週間経ってガスが抜けた状態の方が美味しくなると言われています。

というわけで、ツルンとした美味しい茹で卵を作るには、買ってから冷蔵庫で1週間以上経ったものを使うのが近道。もし新鮮な卵を使う場合には、茹でる前に殻に小さな穴を開けるというのも一案です。

いずれの場合も、茹で終わったら冷水に取り、しっかり冷やすようにするとキレイに剥けますので、お試しくださいね。

 

賞味期限を過ぎても食べられる

卵の賞味期限は、生で食べる前提で設定されています。というのも、卵に付着しているサルモネラ菌が食中毒の原因になる可能性があるから。賞味期限は、パックに詰めてから2週間程度が目安。それよりも余裕を持っているところも多いので、期限ギリギリまでは生食で大丈夫というわけ。

もし賞味期限を過ぎてしまっても、しっかり加熱することで卵の中のサルモネラ菌は死滅します。加熱の目安は75℃以上で1分、もしくは、65℃以上で5分です。

余談ですが、サルモネラ菌があるということは、菌の繁殖には注意しなければならないということでもあります。割った卵はその日のうちに使い切るようにし、割れてしまった場合もすぐに使うのがおすすめ。栄養価が高いということは、言い換えれば、菌が繁殖する養分も多いということなので、衛生管理には注意しましょう。卵を触ったら、手をしっかり洗うのも忘れずに。

 

いくつご存知でしたでしょうか?
「へ〜!」と思われたネタがあれば、ぜひ話題にしてみてくださいね。

 

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それでは、また。

 

 

 

 

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